あの人はひどく草臥れた様子で 川のほとりに倒れていた。
さいわいどこにもけがはなくて、 わたしは彼をお家につれて帰った。 誰にでも親切にしなさい、 そうすれば魂は天国へ行けるよ−−− それが死んだお母さんのくちぐせだったから。 目をさました彼はしきりに今日の日付を 気にしていた。 「これ読んだらいいよ、じゃね」 今日の新聞をわたすと、わたしは仕事場へ むかった。 今日はお休みする覚悟だったけど、 あのひとが目をさましてよかったな。
わたしの勤め先は街の大きな図書館。 ちいさな頃から本は大好きだったし、 地味な仕事かもしれないけれど おだやかな毎日に感謝しながら暮らしていた。 自分の名が後世に残ることなんて 望んでなかったし、思いもよらなかった。 そう。 ずっとこんな日が続くって、 思ってたんだ。
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